ANNAPURNA ~マルハン家の食卓~

食生活の記録@インド/アンナプルナとは、サンスクリット語で「たくさんの食べ物を供する豊穣の女神」を意味します。

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みなさま、あけましておめでとうございます。

2013年。光に満ちあふれる一年でありますよう。

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そもそも昨年末は、アーユルヴェーダグラムから戻りし後、夫の故郷であるニューデリーへと赴く予定であった。しかしその予定がなくなったため、大晦日はバンガロールの自宅で過ごすことになった。

31日は、特に予定が入っているわけではない。そうだ。日本料理好きな夫のためにも、おせち料理を作ってみようと思い立った。

義姉夫妻を招いて4人で……と思ったが、いや、せっかくおせち料理を作るのなら、日本人の友人も招きたい。

ヤクルト王子&PAKAKO隊員(注:ローカルフード探検隊1号隊員)夫妻に打診をしたところ、元旦はバンガロールにいらっしゃるというので、ご招待した。

招待したはいいが、おせち料理とは何ぞや。というところから、復習をせねばならぬ我。

我が人生でおせち料理を作ったのは今から27年前。大学時代に、なぜか思い立って実家で作ったのが最初で最後。一度きり、である。

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思えば、日本で最後に正月を過ごしたのは17年前。最後に食べたおせち料理がいつだったかも、思い出せないほど遠い。

それに加えてここはインド。調達できる食材は限られている。ネットで「おせち料理」の画像を検索してみるに、インドでは入手できないものも多い。

30日の夕刻。アーユルヴェーダグラムから戻って直後、買い物に出かける。まずは「それらしい素材」を購入して、そこからできる物を考える方が早いというものだ。

適宜、食材を買い求め、大晦日は「なんちゃっておせち料理」作りを楽しんだのだった。

ところで、重箱や和食器類がほとんどない我が家。実家に帰省した際に、ちょこちょこと持ち帰っていた漆器が中途半端な数で存在するだけだ。

それらを駆使して、なんとか和風ムードを演出しつつも、微妙な食卓ではある。

参考までに、調理の途中の記録も残しつつ、作った料理をご紹介したい。

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30日には、いつもはあまり利用しない、輸入品の多いスーパーマーケット、FOOD HALL@MG Roadへ赴いた。

かつて、魚を入手するには、ローカルの市場であるところのラッセルマーケットを利用していたが、最近ではスーパーの一隅でも、それなりの魚が手に入るようになった。

FOOD HALLの魚売り場も、そこそこ、いい感じなのだ。

味はさておき、見栄えのする大きなエビを購入。魚は、見た目はともかく、味のよいマナガツオ(ポムフレット)を買う予定だったが売り切れ。スナッパー(鯛)があったので、味は不明だが、購入した。

エビは、軽く茹でたあと、醤油だしの汁の中に漬け込んで、冷蔵庫へ。鯛は、どんな味かわからないので、塩焼きにするよりは味をやや強めにした方がよいだろうと、一晩、味噌と酒を混ぜたものに漬け込んだ。

これは、元旦の朝に焼いた様子。動きを出すために、尾頭部分にジャガイモを置き、さらに躍動感を出すべくヒレを広げて焼いてみたら、かなり怪しい魚に。

ドラゴン……?

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正月らしさの演出に活躍したのが、デリー・ニンジン。冬の北インドに出回る赤いニンジンだ。これと大根でなますを作ったり、インゲンとともに茹でて豚肉で巻いて焼いたりと活用。

豚肉は、このごろお気に入りのポークショップにて「コリアン・スライス」と言う名の薄切り肉を購入。これは、軽く塩胡椒をして焼くだけ。

おせち料理とは言えないが「巻いている」という点が、それっぽいかと思われる故。

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「栗きんとん」は、栗が入手できないので無理。入手できたとしても一から作るのは面倒くさそうだ。というわけで、サツマイモを利用。サツマイモは、蒸かしたあと、バターと砂糖、牛乳少々を入れて混ぜ、裏ごしする。

おせちといえば、お煮染めのイメージ。しかし、ゴボウやレンコンなどがない。レンコンは、バンガロールでもたまに見かけるが、今回はあいにくなかった。

そのかわり、タイから輸入されていた小ぶりのしいたけを発見したので、それを買い求める。

「インドの食材でおせち料理を」と勝手に目標を決めていたゆえ、輸入物を使うのは微妙に「負けた気がする」のだが、そんなところで意地を張ってどうする、と自らに言い聞かせ、購入。

具は、里芋(っぽいものがあるのだ)、レンコン、鶏肉、ニンジンなど。

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豆腐は以前もご紹介した「ひよこ豆と水だけでできる豆腐」を作った。

ひよこ豆(カップ1)を一晩水で戻す。一旦水を捨てて、新たにカップ2杯の水を入れ、ミキサーで粉砕。

それを布でぐいぐいと漉してのち、鍋に入れ、しっかり混ぜつつゆっくり加熱。

カスタードクリーム状になったところで火を止め、型に流し入れ、冷めてから冷蔵庫に入れれば出来上がり! という簡単豆腐である。

右上の写真。右端は、水で戻した昆布とベーコンをくるくると巻いて、醤油だしで煮込んだもの。かんぴょうのかわりにネギで結んだ。ネギがぶちぶちと切れて手間取ったが、なんとかなった。

だし巻き卵は、ちょっと厚めに焼いて、巻き簾で形を整えた。手前は、インゲンとニンジンの豚肉ロール。

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実は、前夜になって、義姉夫妻が来られなくなったと連絡が入った。ラグヴァン教授が、元旦早々から仕事が入ったらしい。残念!

22人と20人とじゃ、2人減っても、準備にほとんど変わりないけれど、6人と4人とじゃ、同じ2人減でも全然違うのよね〜。などとややこしいことを思うが、仕方がない。

料理はたっぷりあるし、おせちを食べたい日本の誰かを招きたいと思うが、たいていこの時期、みなさん旅行中である。そもそも、夫婦で元旦早々遊びに来てくれそうな日本人の友人知人が、思い当たらない。

この際、インド人家族よりも、やはりおせちの存在を知る日本人に楽しんでもらいたいものである。

実は、大晦日の夜は、夫のインド人ビジネス関係者が主催するニューイヤーズ・イヴのパーティに招かれていたので、おせちを作ったあと、出かけたのだった。

インド的に、飲んで踊っての大騒ぎ。夕食は新年があける直前、すなわち深夜という、これもまたインド的な流れであった。

アーユルヴェーダグラムでのデトックスな1週間が吹き飛んだ夜でもあった。

というわけで、静かな元旦を過ごすには、4人でゆっくりと……というのが、結果的には、よかったと、今になって思う。

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新年といえば「梅の花」という気がしないでもないが、「桜の花」の木型しかなかったので、それを活用し、芋きんとんを桜型に。

そもそも、なぜ桜の木型があったかといえば、いつだったか母がお土産でくれたのだ。普段は使わない「日本物」が、非常に役立つ。

しかも「ひのき」の木型だったゆえ、洗うといい香りがして、まるで檜風呂。ああ、温泉……。

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ドラゴンな鯛。皿が地味なだけに、もっと飾り付けをしたかったが、ま、いいか。という状況。近所に笹の葉があったので、あれを取ってきて敷けばよかったか。などと今更、思う。

エビの横には蒸しただけのブロッコリー。ニューヨークで購入していた上質オリーヴオイル&ヒマラヤの塩をつけてシンプルに食す。

上質オリーヴオイルは上質なだけに美味! なんだか余計な調理をせずとも、シンプルが簡単でおいしくて一番なんじゃないかと、身も蓋もないことを思うのだ。

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右端。インドでは「ラジマ」と呼ばれる赤い豆。英語ではキドニービーンズ。日本では、赤インゲン豆?

ともあれ、小豆によく似た味なので、これを甘く炊き上げた。それから紅白のなます。

そして白い大きな豆を茹でる。これは、茹でるのに、やたら時間がかかった!! 圧力鍋だと早いが、形が崩れるがちなので、地道に普通の鍋で茹でたのだが、ともかく何時間か、かかっちまった。

豆はトマトと混ぜて軽く塩胡椒。これも各自、好みに応じてオリーヴオイルをつけて食す。

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わずかな漆器が「日本のムード」を演出してくれた。

が、惜しむらくは、雑煮! なにがないって、餅がない! というわけで、単なるお吸い物と化した雑煮であったが、それはそれだ。

ああ、今、突如思い出した、ブリ。ブリが入った雑煮が懐かしい。

父方の祖父が生きていたころ、即ち我が子供時代の大晦日、祖父が巨大なブリを玄関先の三和土で裁いていたのを思い出す。

大きすぎて、台所では裁けないほどだった。ブリは、大晦日には刺身として堪能し、その他の部位は煮付けやら雑煮の具やらになったものだ。

ブリ。脂ののった新鮮なブリ。こればかりは、今、猛烈に懐かしく、食べたい!!

……というわけで、ほとんどをインドの素材で仕上げたおせち料理。

インドでも、それなりに、それらしく、作れるものであるということを経験するいい機会であった。ちなみに日本から持って来たもので利用したのは下記の通り。

・上質のしょうゆ
・上質のみそ
茅乃舎(かやのや)のだし(超便利!)
・上質の昆布

以上である。いちいち「上質」と書くのも鬱陶しいかとは思うが、我が家では、調味料や加工食品など、日本の食材がほとんどない分、基本的な食材を数種類、品質のよいものを少量、用意している。

そして先日も記したところの「化学調味料無添加の天然だし」があるお陰で、もう、日本料理はノープロブレムな状態なのだ。

みりんや酒はない。オーガニックの無漂白の砂糖やインドの白ワインで代用した。献立によっては、しょうゆと茅乃舎のだしさえあれば、なんとかなる。

ともあれ。

大晦日の午後。黙々と料理と作りながら、思った。

一人で、料理をする時間は、わたしにとって、無心で作業に没頭できる楽しいひとときだ。なにしろ作業の成果がすぐに出るのがいい。

しかしながら、「おせち料理」に関していえば、一人で作るものではないな、と感じた。

寒さ厳しい年の瀬、台所を預かる女性たちが、それぞれに作業を分担しながら、慌ただしくも賑やかに、準備をするものであったろう、遠い時代に思いを馳せたせいもあるだろう。

元旦、親子数世代、家族親戚が集まって、「あけましておめでとうございます」の挨拶を交わし、お屠蘇をいただく。

山ほど準備された、彩り豊かなおせち料理は、大勢で、賑やかに食してこそ、とも思う。

そもそも、元旦に料理をせずにすむよう、年の瀬に準備をするおせち料理。味付けが濃いのも、保存を利かせるためで、だから決して美味とはいえないものもある。

それでも、正月のおせち料理という物に対し、多くの日本人は、期待のような、憧れのような、「善きもの」のイメージを持っているように思う。

それは、おせち料理を取り巻く風景全体に対する思いではなかろうか、とも思うのだ。

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元旦も、今日も、バンガロールは陽光降り注ぐ、すばらしいお天気だった。

お正月気分は皆無である。

それでも、友人夫妻が、日本酒や、インドでは超貴重な刺身や、手づくりのちらし寿司やどらやき(!)などを持参してくれ、雰囲気はよりいっそう、盛り上がったのだった。

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友人夫妻は、我が家の仏像に手を合わせて「初詣気分」も味わっていた。何かが違う気がするが、まあ、気の持ちようだ。

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まずはスパークリングワインで乾杯し、そのあとは、日本酒。おせちに刺身に日本酒。幸せすぎる。アルヴィンドは、ひたすら、黙々と食べている。

彼は、「ベーコンの昆布巻き」に、強い感銘を受けていた。

「この形、この味、すばらしい!」とのことである。確かに、ぐるぐる巻いて、結んで煮込んで……などと言う料理は、異邦人には珍しかろう。

風が心地よく、暑さを感じないバンガロール……。

が、最高気温は30℃。実に、夏である。

おせち料理は多めに作って翌日にも……と思っていたのだが、食事のあと、のんびりと飲みながら語るうちにも、食卓に残ったおせち料理の一部が、驚くべき速度で傷み始めていた。

これには、本当に驚いた。

冷蔵庫に入れておいた残りは無事だったが……。おせちとは、やはり「日本の冬にふさわしい料理」であることを実感するのだった。

バンガロールでのおせち料理は、元旦の昼ごろには完食。これ、鉄則である。

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食後は、庭に場所を移し、お気に入りのインドワイン、SULAのRASA(ヴィンテージの赤)を開ける。個人的に、インド産ワインの中で一番おいしいと思う、このワイン。

本当に、おいし〜い!

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いい加減、酔いがまわって、呆ける午後。アルヴィンドが、BGMを準備。サイモン&ガーファンクルやらU2やら、ボブ・ディランやら、元旦とはおよそ関係のない音楽を脈絡なく流す。

と、音楽ムードが盛り上がったところで、持参のギターを取り出して弾き語りを始めるヤクルト王子。実は、ヤクルト王子とわたしには、ひとつの共通点があった。

それは、中学時代に「さだまさし」を愛聴していたことだ。

さだまさしから、ヘヴィメタまで。我ながら、守備範囲が広いというか、主体性がないというか、まあそんなところだ。

年季の入ったボロボロの楽譜には、懐かしい曲が満載!!

で、いったい我々は、何曲歌ったのだろう。彼が弾き語れる曲とわたしの歌えるそれとが(わたしはかつて、ピアノで弾き語りをしていた)、思い切り一致していたものだから、もう、とまらない。

DSCF5221エアマイクを持ち、いったいどれほどの時間、歌ったことか。

たいていの曲は、歌詞を見ずとも思い出せる。

もう、30年以上も歌っていない歌さえも。

若いころの記憶って、本当にすてき♥

などと思いながらもう、懐かしい&気分がいいで、延々と歌い続ける我ら。

最初は拍手などしていたマイハニーも、途中でいい加減いやになったのか、呆れ気味。日が暮れて、部屋の中に戻ってからも、「これが最後」とか言いながら、何曲か歌った気がする。

さだまさしを他人とここまで分かち合ったのは生まれて初めてのことだったので、たいそう新鮮で気分がよかった。

そもそも若いころは「さだまさしが好き」とは、とても言い出せないムードをほとばしらせていた我ゆえ。

それにしても、さだまさしは歌詞がすばらしい歌が多いのだが、どれもこれも暗い! が、そこがぐっとくる。

ヤクルト王子とわたしの好きな歌がいくつか一致した。なかでも「まほろば」が秀逸! 歌詞がよすぎる。が、これを中学時代に聴き入っていたと思うと、渋い。

ここで聴けます。(←Click!)

ぜひ、聴いてみて〜!

今、聴いても、本当に鳥肌が立つほどよい曲である。この日本語の味わいを、夫と共有できないのが、残念。などということは、今更、言うまい。

日本食の味わいを共有できるだけでも、すばらしいというものだ。

そんなわけで、なにがなんだかわからない感じだが、楽しくおいしく長閑で平和な、2013年の始まりであった。

荒波ざぶざぶ乗り越えて、わははわははと笑いながら、困難辛苦吹き飛ばしつつ、楽しいことだけぐんぐん吸い取り、あらゆる障壁を糧にして、熱く激しく軽やかに、やさしく涼しくしなやかに、生きていければと思う。

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